プロジェクトチームが開発したCBT英語スピーキングテストのシステムが, 京都工芸繊維大学のAO入試(2017年12月2日実施)で使われます

 

学生のニーズや教育とのつながりを考慮して,English as a Lingua Franca(共通語としての英語)の理念に基づくスピーキングテストを作りました。このテストでは,「21世紀型スキル」と言われる想像力,批判的思考力,問題発見・解決力,創造力などを要する課題(タスク)を,英語を使って達成する能力が測られます。

従来のテストでは,ネイティブスピーカーの英語(発音,文法,発話の流暢さなど)を基準として,受験者の英語がその基準にどれだけ近いかが測られます。しかし,このテストでは,その時点で使える語彙や文法を駆使して,どれだけ効果的に課題を達成できるかだけが測られます。

多様な英語がノン・ネイティブスピーカー同士で用いられることが多くなった今,学生たちに必要なのは,細かい発音を気にしたり,文法の間違いを恐れたりすることなく,堂々と,伝えたいことを伝え,達成すべき課題を達成しようとする姿勢です。学生たちは,英語の使用者(user)であり,学習者(learner)でもあります。意思伝達を重視する姿勢がなければ,使用者としてはもちろん,学習者としても成功することができません。教育との連携で,伝えようとする姿勢や伝えるためのストラテジーを育むためにこのテストを作りました。

テストの目的に合わせて策定した採点基準や採点方法は,テスト理論や採点者からのフィードバックに基づく検証と改善を繰り返しています。同時に開発したコンピュータ方式のテスト実施システムやオンラインの採点システムについては,回を重ねたパイロットテストや学内の定期実施(2014年度より600名規模で実施)を通して,入試導入の実現可能性を検討しました。

ごく小規模ではありますが,AO入試への導入にこぎつけるまでに5年かかりました。

大学法人の理解と,SGU事業予算や科研費(基盤(C)25370713, (B)16H03448)の助成があったからこそ,実践に根ざした研究や検証を,企業にはできない角度から進めることができました。

プロジェクトの半ばで,志を共にしてきたアカデミック・アドバイザーのNic Underhillを失うという悲しい出来事がありました。そのほかにも大小の障害に何度もぶつかりましたが,そのたびに幸運な出逢いに恵まれ,心ある方に支えていただいて,何とかここまで来ることができました。

お名前をあげることは差し控えますが,お力添えをくださった皆さまに,心よりお礼を申し上げます。

ライティングテストのCBTシステムも本年3月までに完成しています。しかし,入試に使うかどうかは白紙の状態です。入力方法,辞書機能や予測変換の利用など,研究課題もたくさんあります。これから時間をかけて,入試導入の実現可能性を検証し,必要な改善をしていきます。通過点として,まずは学内で安定した運営ができるようになることを目指します。

2020年度から始まる予定の「共通テスト」についても,学術的な理論に基づく検討や現実に則した検証が慎重に行われることに期待します。

たった45秒の音声回答でも,何をどう測るか(評価観点,採点基準,採点方法)で,スコアは大きく異なります。今回の英語入試改革については,どのようなテストをどう用いることが,現場の教育を助け,生徒の能力向上につながるかがが十分に議論されていないように思われます。

この件に関するプレスリリースはこちらから。スピーキングテストの「概要」や「サンプルテスト(動画および紙バージョン)」,同時に行うライティングテストの概要などはこちらから。スピーキングテストのテストスペックはこちらから。

広告

日本言語テスト学会第21回全国研究大会で研究発表をしました

2017年9月9日~10日に,会津大学で開かれた日本言語テスト学会第21回全国研究大会において,「ビデオフォン (Skype) 方式英語スピーキングテストの可能性と課題:高等学校定期考査への導入実績に基づく報告」というタイトルで研究発表を行いました。

京都工学院高校フロンティア理数科2年生の一学期末考査において,スカイプ方式の英語スピーキングテストを実施しました

2017年6月26日(月),京都工学院高校フロンティア理数科2年生の一学期末考査において,スカイプ方式の英語スピーキングテストを実施し,2クラスの生徒(計54名)が受験しました。

このテストは,2年生が履修する科目「英語表現Ⅱ」の学期末テストとしてデザインしたもので,昨年度の「英語表現Ⅰ」の学期末テストでの実施に続いて,今回が4回目の実施となりました。

今回のテストでは,授業や教科書の内容,および,「ディベートの能力を評価するような問題にしてほしい」という授業担当の高校教員の意向をふまえ,スピーチやインタビュアーとのQ & Aのほかに,インタビュアーとのディベートを新たに加えました。

テストのスコアは「英語表現Ⅱ」の成績に加味されます。

Test Structure

Rating Scales

インタビューテストの内容と準備について(生徒への配布資料)

ELF10で研究発表をしました

2017年6月12日〜15日に,フィンランド・ヘルシンキ大学で開かれたELF 10 (10th Anniversary Conference of English as a Lingua Franca) において,“Assessing ELF proficiency: The evolution of a CBT speaking test”というタイトルで研究発表を行いました。

京都工芸繊維大学で開発・実施しているコンピュータ方式の英語スピーキングテストにおいて,リンガフランカ(国際共通語)として英語を使う能力を測定するために行っていることについて発表しました。

京都工学院高校フロンティア理数科の三学期末考査において,スカイプ方式の英語スピーキングテストを実施しました

2017年2月6日(月),京都工学院高校フロンティア理数科の三学期末考査において,スカイプ方式の英語スピーキングテストを実施し,2クラス(計54名)の生徒が受験しました。

このテストは,1年生が履修する科目「英語表現Ⅰ」の学期末テストとしてデザインしたもので,2016年7月4日(月)の一学期末テスト,同年11月28日(月)の二学期末テストに続いて,今回が3回目の実施となりました。テストのスコアは「英語表現 Ⅰ」の成績に加味されます。

Test Structure

Rating Scales

インタビューテストの内容と準備について(生徒への配布資料)

dsc_1957dsc_1944dsc_1945

 

プロジェクトメンバーの著書が刊行されます

本プロジェクトのメンバーである光永悠彦氏(島根大学教学企画IR室,講師)の著書『テストは何を測るのかー項目応答理論の考え方』が2017年2月20日(月)に刊行されます。

近年のテストで主流になりつつある項目応答理論 (Item Response Theory) の考え方が,実践例を交えながら分かりやすく解説されています。