Celebration of Nic’s life in Kyoto

去る9月22日に急逝された本プロジェクトの研究アドバイザーNic Underhill氏の人生を讃える会が,10月15日に英国ケント州のRomney MarshにあるSt Dunstan’s Churchで行われました。Underhill氏への感謝を込めて私たちのチームが作ったビデオもこの会で上映されました。このビデオからもお分かりいただけるように,彼は仕事の面でも人柄においても素晴らしい人でした。

Video: Celebration of Nic’s life in Kyoto

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研究アドバイザーのNic Underhill氏が逝去されました

2016年9月22日,本プロジェクトの研究アドバイザーであるNic Underhill氏が急逝されました。

Underhill氏はヨーロッパや中東で英語を教えた後,英国ブライトンの語学学校やシェフィールド・ハラム大学のTESOLセンターでマネージメント業務をされ,その後,ケンブリッジ大学英語検定機構(現 Cambridge Assessment)において,さまざまなテストの開発運営に携わってこられました。

彼の著書 Testing Spoken Language (Cambridge University Press, 1987) は,スピーキングテストの研究に多大な貢献をしたことで知られています。

Underhill氏はこのプロジェクトの立ち上げ当初から,研究アドバイザーとして私たちを導いてくださり,2013年3月に開催した「入試改革を考えるKITシンポジウム:大学入試への英語スピーキング・テスト導入の可能性をさぐる」では,“Testing Spoken English: Developments, Challenges and Responses”と題した基調講演をしてくださりました。

その後も毎年来日して, 私たちが開発運営しているCBT方式のスピーキングテストとスカイプ方式のスピーキングテストの維持発展に力を貸してくださいました。研究と実践の両方に根ざしたUnderhill氏の助言は,私たちにとってかけがいのないもので,亡くなる数日前にも採点者訓練の改善に向けた貴重なアイデアをくださりました。

Underhill氏は仕事においても人柄においても,心から尊敬できる方でした。彼のサポートがなければ,私たちはここまで来ることができませんでした。メンバー一同,Underhill氏への感謝を胸に,彼から学んだことを今後の研究開発に活かしていきたいと思います。

Nic, we miss you sorely.

プロジェクト開始にあたって

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京都工芸繊維大学では,入試改革の一環として,英語スピーキングテスト導入に向けた学際的な研究グループを立ち上げました。ハード(機器)開発グループとソフト(問題)開発グループのインターアクションにより,大学入試という特殊な状況に耐えうるスピーキング・テストのシステム構築を目指します。

世界に発信できる人材の育成を目指して高等学校の学習指導要領が改訂され,各種プロジェクトが展開される今,大学の入学者選抜でスピーキング能力が問われないことの損失は計り知れません。しかし,テストを実施するには,高校までの学習到達度判定や各大学・学部のアドミッションポリシーに基づく適性判定にふさわしい問題をどう開発するか,機密性や公平性を担保しながら,厳しい時間的制約の下で限られた人的・物理的資源を用いて,多数の受験生の能力をどう測定するか等,多次元の問題を解決しなければなりません。

このようなハードルの高さもあり,センター試験にリスニングが導入された2006年以降も,スピーキングテスト導入に向けた動きは見られません。入試改革を柱の一つとする文部科学省の「大学改革実行プラン」や安倍内閣による「教育再生実行会議」も,英語に関してはTOEFL等外部テストの活用推進を謳っているだけです。しかし,中等教育と高等教育の連携によって有能な人材を育もうという試みの中,外部テストに両者をつなぐ役割を期待することはできません。TOEFLの活用推進によって,教育格差がさらに拡大したり,若年層から「知の流出」が進んだりする可能性さえあります。韓国では,スピーキングテストを含む「国家英語能力評価試験(NEAT)」の準備が進められています。私たちも「国際語としての英語」運用能力を自国の基準で測る可能性を探ってみたいと思います。

機密性や公平性,実施や評定の容易さ,コストなどにおいて,大学入試に対応できるような英語スピーキングテストのシステムが完成すれば,高校入試や各種の模擬テストをはじめ,日本中の学校・大学における英語教育の現場でも,同様のシステムを用いて生徒・学生の能力をバランスよく測れるようになるはずです。そういう日が一日も早く来るように,この研究開発プロジェクトを進めます。

(2012年10月)